
はじめに
様々な業種で、業務における自動化が進んでいます。企業が行う様々な業務の中でも、営業活動は自動化が難しい活動であると受け止められてきました。しかし近年では、ITの進展により、営業活動を自動化できるようになってきました。
営業の自動化は、労働人口の減少や高騰する人件費を補う手段として注目を集めています。そこで、本記事では「営業の自動化」の概要や取り組みのポイント、メリット、営業の自動化に有効なツールなどをまとめて解説していきます。
営業の自動化とは?
営業の自動化とは、営業活動の一部または全体をITツールを導入することで自動的に行い、業務や営業プロセスを従来より効率化・省力化することです。
営業の自動化には以下のような種類があります。
- 複雑ではないものの時間のかかる作業を自動化すること
- メールやレポートなど形式が決まっているものの作成を自動化すること
- 顧客の行動を自動で分析して営業のアプローチに活かすこと
これらの施策によって、営業活動の効率化が期待できます。
「営業の自動化」の目的
営業の自動化を行うことによって、どのような効果が得られるのでしょうか。ここでは、営業の自動化の目的について解説していきます。
営業の効率向上
営業職がこなさなければならない業務には、見積書、契約書といった書類の作成や顧客リストの作成など、繰り返しの業務や定型業務が多く存在します。こういった業務を自動化することによって、他の業務に時間を費やすことができます。
生産性の向上
営業活動の一部を効率化させることによって、担当者一人当たりの生産性の向上が期待できます。様々な業務に割く時間を減らすことができるため、人手不足の解消や人件費の削減に繋がり、利益向上も見込めます。
自動化できるポイント
ここでは、営業の自動化が営業活動のどのような場面で活用できるか解説していきます。
スケジュール管理の自動化
営業の業務の中でも、顧客や社内メンバーとの日程調整は時間を要します。メールを何往復もさせて日程調整を行うこともあるでしょう。そこで、スケジュール管理の自動化ツールを使用することにより、形式的な日程調整を簡易化することができます。相手側が都合の良い日時をURLからクリックすれば、自動的に営業側のカレンダーに予定が追加されるといった仕組みを持っているものが多いです。
スケジュール管理の自動化は、時間の削減の他に、対応が遅れることによる機会損失を減らすことも期待できます。

メール対応の自動化
一回一回、メールを作成すると時間がかかります。営業メールを活用するシーンはある程度決まっていることが多いです。例えば、以下のような例が挙げられます。
- お問い合わせへの対応のメール
- リマインダーメール
- お礼のメール
- お詫びのメール
- 見積書送付のメール
事前に営業用のメールテンプレートを作ってITツールに保存しておくことで、一部だけ変更すればメールを送信でき、メール業務にかける時間をに減らすことができます。また、メールマガジンや定期的に顧客に送信するメールは、ツールを用いて自動で配信することも可能です。
営業のアプローチの自動化
営業活動において、顧客へのアプローチは大切な要素です。
営業には、メールやテレアポ、DM、飛び込みといったアプローチがあります。営業自動化のツールを用いることで、膨大な顧客リストの中からアプローチしたい顧客の条件を絞り、契約する可能性が高い顧客のリストを作ることが可能です。どのアプローチを用いるべきなのかを分析することで、営業活動をさらに効率よく行うことができます。
情報共有の自動化
情報共有の難しさを抱えている企業は多くあるでしょう。営業活動で入手した情報をデータベース化できれば、容易に営業に関わる全ての人がデータにアクセスできます。
それらの情報が時系列で蓄積されていけば、市場がどのように動いているのか把握しやすくなります。

レポーティング(報告書など)の自動作成
報告書や日報の作成は、多くの時間を要します。プレゼンのために時間をかけて資料を作り、顧客へのアプローチの時間が少なくなってしまうことも考えられます。
そこで、ITツールを活用することにより、自動的に図やグラフを作成・更新することが可能です。それを利用したレポート作成も簡単に行うことができます。
営業自動化ツールについて
営業自動化ツールとは、営業活動のいずれかの領域をITで自動化するツールです。前述した自動化できるポイントを自動化することや、分析を行うことができます。
ここでは、営業の自動化によく用いられるツールの種類についてそれぞれの特徴と共に紹介します。
CRM(顧客管理システム)
顧客情報を一元管理できるシステムです。顧客の情報、お問い合わせや取引履歴などのデータを活用し、顧客のニーズに応じた提案を提供します。個別のニーズに応じた対応ができ、顧客との長期的な関係構築が期待できます。
【CRMの例】
- e-セールスマネージャー…マーケティングや分析機能を加味した営業支援ツール 営業活動に関する情報を簡単に可視化することにより、営業活動を支援
MA(マーケティングオートメーション)
新規の見込み客に対して、ウェブの閲覧履歴やデータを元に関心度が高いと思われる情報をメールで自動送信するツールです。これを行うことにより、ニーズに掘り起こして有望な新規顧客への獲得にも繋げることが期待できます。
【MAの例】
- SATORI…ウェブの閲覧履歴やお問い合わせフォームへの入力のデータを元に分析を行い、関心度が高い顧客に直接メールでアプローチすることで、資料ダウンロードページへ誘導したりフォームへの登録を促進したりできるツール
- Approach DAM…営業活動とマーケティングの両方で見込み客の管理をすることができるツール
SFA(営業支援システム)
顧客情報、商談化案件のプロセスを一元管理するツールで、営業活動の効率のために利用されます。営業プロセスを管理するものであり、営業履歴や日報、活動分析などの行動を管理します。それらを管理することにより、属人化しやすい営業に関する情報を可視化でき、営業ノウハウの共有もできます。
【SFAの例】
- Sales Force Assistant…経営改善ノウハウをシステム化した営業支援・情報共有ツール 顧客管理、商談管理などを社内ですぐ共有できる他、スケジュールの通知機能もある
- GeAlne…企業のお問い合わせフォームに自動で営業メールを送り新規のアポを獲得する、BtoB向けの営業支援ツール
自動化を適用するときの注意点
ここでは、自動化を導入する上での注意点を紹介します。
自社に適した営業自動化ツールを用いる
営業自動化ツールは多く存在するため、自社に適したものか判断する必要があります。
業界の違いやブランド力の違い、新規顧客を狙いたいといった目的の違いで、営業現場の課題それぞれは異なります。目的をしっかり理解した上で、ツールを選ぶことが大切です。
また、現在よく使われているツールの多くは、人が目的に沿って適切な設定をする必要があります。ツールによっては、扱いが難しいものもあり、使いこなせる人が自社にいるかどうかも注意すべきです。
顧客側の視点を持って営業の自動化を行う
営業のアプローチの自動化を行うには、顧客目線で何が嬉しいかを考えた上でコンテンツを考える必要があります。その部分に関しては、自動化ツールを使う上でも営業の本質として変わりません。
例えば、Web上の質問で見込み顧客のレベルを振り分けた場合、関心の高い顧客にはどのようなコンテンツやメールを届ければ良いのか、自分たちで考える必要があります。
顧客との接点も大切に 自動化に頼りすぎないように
営業自動化ツールを利用した場合、顧客へのコミュニケーション機会が減ってしまう問題が考えられます。単純な繰り返しの作業は自動化し、一方で顧客とのコミュニケーションが必要な場面があることを理解しておきましょう。
最近は、新型コロナウイルスの影響もあり、特にオンライン上での顧客とのコミュニケーションの重要性が高まっています。自動化と個別コミュニケーションのバランスを上手くとることが大切です。
まとめ
本記事では、「営業の自動化」を進める方法について解説させていただきました。営業の自動化は、ITツールを活用して営業プロセスを効率化することで、時間の短縮やコスト削減に繋げることができます。営業自動化ツールをうまく活用し、営業の効率化を行なっていきましょう。
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